「相談事ってことで話し始めちゃうと…どうしてもそうなりますよね…」
「頭が疲れてるので…それってダメなんです。」
「何話そうかなんて…大分(だいぶ)迷(まよ)ったりしました?」
「話するのって難しい…ですよね…」
「何かマジシャンで大きな耳を出す人ってテレビで見たことないかしら…」
「お笑いマジックショーのタレントのこと…」
「同じパターンでは、あきられてしまいますよね。でも、カウンセラーの耳というのは、どんな話でも受け入れる耳を持っているから、いつの間にかちゃんとクライエントの気持を受け止める訓練が出来ているものなのですよ。そうそう、マギー審司っていいましたね。やっと思い出した。」(笑)
「何からお話ししたらいいのか…」
「このカウンセリングルーム、一時間五千円という標準料金を設定をしているけど、それで実際には、二時間ということになるのも珍しくない。そのうちのほとんどをクライエントが話しているというのが上手なカウンセリングといわれていますがね。」
「でも、簡単には話せないことを話そうとするのは難しいですよね。」
「初めから、こういう内容を相談しようと思って来ましたというのは、あなたが本当に話したいことではないというのがほとんどなんですがね。だから、カウンセラーにとっては、そんな話の内容を準備出来るようなご相談事なんていうのは、どうでもいいのです。だから、そのことはとりあえず脇に置いておいて、何か思いに浮かんだことをお話しになってみませんか…」
「カウンセリングってなんなのか…」
「それは、カウンセラーの先生に対する質問ですか、そのことについて知りたいから教えて下さいってこと?クライエントの皆さん、よく誤解なさってるみたいなんだ。」
「どういうことでしょう?」
「カウンセラーが聞かせてほしい、教えてほしいと思っていることというのはね…カウンセラーは皆さんクライエントから聞かせていただきたいと思っているのです。だから大きな耳を持っているといったんだけど…」
「でも、カウンセラーのこと、先生って呼ぶ人が多いんじゃないですか。相談してアドバイスしてくれるのでしょう。」
「問題解決型なんていうヘンなカウンセリングが相談料をもらっている。これってみんな似非(えせ)カウンセリングです。」
「ニセモノ?」
「本物のカウンセリングは、せいぜいクライエントの気持に寄り添って一緒に悩むというのが本物のカウンセラーなんですが…」
「それはとてもしんどい仕事じゃないですか!」
「分って頂けたのかしら…それがカウンセリングなんですがね。だから、もう、しんどくて、まいってしまうんですよ。」
「……」
「生涯現役で頑張ろうと思って始めたんだけれど、そろそろ限界を感じてバーンアウト寸前です。ああしんど!」
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